2010年12月31日金曜日

回顧と展望(2)

 
承前。
 
8月。http://sorori-tei-zakki.blogspot.com/2010_08_01_archive.html
更新回数6回。セッション964。
八月は、俳句甲子園の月。
しかし今年も残念ながら参加できず。
旧稿「山口誓子『構橋』を読む―後期誓子俳句読解の試み―」を転載。続稿が載る予定の同人誌は未刊なので転載はもう少し先になりますね。また、「週刊俳句」で「俳句界」を読んだレポートを掲載いただきました。

忘れられないのは、月末に山口優夢角川俳句賞受賞の知らせが飛び込んできたこと。
俳句甲子園出身者では初の受賞者。いや、何度祝ってもめでたいです。

※追記
そういえばこの頃話題になった、俳句甲子園の句碑問題についてもうにゃうにゃ書いた。自分で乱暴にまとめると俳句甲子園は「クールなゼロ年代俳人」養成機関ではなく、文部科学省もお墨付きの教育事業であって高校生と俳句とを出会わせるのが目的の場なのだから、野暮なのは当たり前、自分たちのスタートとして句碑を作ってくれるならそれはそれでいいじゃないかとやかく言いなさんな、と、まぁ書いたわけです。
この問題からは後に橋本直氏がもっと緻密な議論を展開されていてこちらのほうが面白いので、一読をオススメします。

9月。http://sorori-tei-zakki.blogspot.com/2010_09_01_archive.html
更新回数6回。セッション892。
湊さんの「s/c」、藤田・越智の「傘」、中村安伸氏と宮崎斗士氏の「俳句樹」、と、新設サイトやユニットの告知があいついだ月。
青木亮人さんがツイッターで独自の写生論を展開され、私的にまとめさせていただく。実作の手法としてでなく、形式にかかわる問題として写生を捉えなおすという視点。
また坪内稔典『現代俳句入門』の感想をアップ。

10月。http://sorori-tei-zakki.blogspot.com/2010_10_01_archive.html
更新回数3回。セッション812。
全然更新できなかった月ですね。前々から宿題にしていた、藤田、越智両名のユニット誌『傘』vol.01の感想をアップ。かなり批判的に書きましたが、長々書きすぎて嫌味なだけだったかも。関係各位、不快に思われたらお詫びしたい。

11月。http://sorori-tei-zakki.blogspot.com/2010_11_01_archive.html
更新回数8回。セッション888。
前月の反省から、短い記事でできるだけアップするように努力しました。
この月3日、鬼貫賞を受賞。因縁深い賞だったので(笑)、嬉しいというよりもようやく獲った、という安堵の気持ちが強かった日でした。各方面からお祝いの言葉を賜り、賞自体よりもそっちのほうが嬉しかったり。
また、このときの実感をもとに、「選考会」の在り方についてだらだら述べてみました。

要するに選者ひとりの絶対的基準で選んだら、それは結社と変わらないだろう、と。
それでもかなりの幅を許容して、俳句の裾野を広めつつ現代俳句の旗手を発掘し続けたところにホトトギス主宰高浜虚子、という人のすごさがあるわけです。ちなみに虚子に次ぐのは俳句研究編集長・高柳重信だろうと思いますが、俳句の大衆化という面でははるかに及びませんでした。
現代において、よくも悪くもひとりの選者の絶対的基準を信じるというのはかなり難しいし、「裾野拡大」と「新人発掘」とを高水準で並行できる選者って、一体誰になるのか、ということになる。
この難しさ、に「結社の時代」の分岐点を見る言説が生じるわけで、結社を超えた「賞」ではなおさら。むしろ同格・複数選者の価値のぶつかり合いによって、つまり「句会」によって決まることが、「俳句」作品にとっていい結果なのではないか、選者もその覚悟をもって、自他の出会う場として選考会に臨んでほしい、
という、
そういった考えが、だいたい頭のなかにあって、わかりきったことをぐだぐだ書いたのだと思ってください。

この月は川上弘美『機嫌のいい犬』も発刊。
今のところメディアで大きく取り扱われたという話も聞きませんが、私見ではこの本こそ俳句メディアは大きく取りあげて、特集でも組んで一気に読者層拡充に努めて欲しいと思います。
俳句人口1000万伝説を唱え、俳句上達の大衆路線を邁進するなら、こういうところでがっつり行かなくちゃいかんだろう、と。「芥川賞受賞につながった俳句」。「創作の基本は取り合わせ」。なんでもテキトーに惹句つけろ(暴論)。
まぁ、冷静にいうと俳句畑でない方を引きずり込むのは相手もあることで難しいのかもしれませんが、川上弘美氏の句集は句集としても普通に面白いのであり、また本人後書き「俳句を、つくってみませんか」は、俳句入門には最適の一文だと思います。だからこそ、俳句メディアももっと歓迎してよいと思うのです。


さてさて、12月は告知しかできてないので省略するとして、以上、一年を振り返ってみました。
こうして見るとblog的には下半期は事件もなく落ち着いてますね。
俳句活動としては、なにより賞をいただいたということで自分の路線に自信をもったというか、まぁもとより明日の俳句を一手に担うほどの気概も根性もないわけですが、俳句の中で自分の居場所があってもいいと思えた、あるいは居場所を守っていくだけの自信は与えてもらった、という気がします。
賞をきっかけに、ということなのか、来年はいくつか表に出るお仕事も頂いたので、与えられた仕事をこなしつつ、自分のやりたいようにやっていくつもりです。関西の若手をつないでいきたいというのも水面下で進行中なので、こちらもおいおい。

当面の課題は、坪内稔典氏の言説史の再検討と、実作面での追っかけ、ですね。

それでは皆さま、この一年、長文駄文書き散らかすblogにおつきあい頂きありがとうございました。来年もおつきあい願いましたら幸いです。
良いお年を。
亭主拝。

0 件のコメント:

コメントを投稿