2011年3月11日金曜日

告知。付・総合誌のこと


季刊『俳句研究』春の号(2011.03)に、「第七回鬼貫青春俳句大賞受賞」ということで作品を掲載いただいております。



今週12日(土)11:00~放送の「BS俳句王国」に出演しております。
主宰は宇多喜代子さん。ゲストは女優、富士真奈美さん。「新撰組」相子智恵さんも一緒です。
http://www.nhk.or.jp/haiku/


収録は実は1月頭だったのですが、明日放送。再放送は水曜日。

ちなみに「BS俳句王国」のBS放送は今週まで。次回からは地上波で30分番組になるそうです。偶然にもBS最後の放送の出演者となりました。



関西俳句なう」も順調に起動中。
3月はそれぞれのテーマを一旦やすみ、「特集 坪内稔典 1984」を実施。
特集趣意を貼っておきます。

特集は、3月の1か月間連続。
「坪内稔典1984」と題し、1984年(昭和59年)以前の、坪内稔典氏および、その周囲の関西若手俳人の作品や俳論にスポットを当てます。
1984年と言えば、坪内氏40歳。『船団』創刊一年前。
関西俳句なうの執筆メンバーでは、まだ生まれていない者もいます。
2011年の若手俳人が1984年にタイムスリップし、当時の作品とどこまでコラボできるかという試みです。



『俳句研究』は一度廃刊になって以来、直販形式で店頭に並ぶことがなくなったので、見開き1ページのために買って読んでくださいとは言いにくい。ただ季刊になったぶん、一冊の分量が厚く、読み応えは充分である。
すこしでも購買促進につながることを期待して、目次からざっと主要なものを取り出してみると、
  • 巻頭作品33句 「東より 鷹羽狩行」
  • 作品10句  綾部仁喜、有馬朗人ら23名
  • 招待席  大久保白村ほか10名
  • 8句新詠  冨田敏子ほか10名
  • 新主宰登場8句
    松岡潔(渋柿)、古賀雪江(雪解)、伊藤伊那男(銀漢・春耕)、大谷弘至(古志) 
  • 自選自解 大石悦子 名取里美
  • 第8回30句競作入選作品 管野めぐみ、水野紀子
  • 第9回30句競作入選作品発表 「何か待つ 糸井芳子」
  • 第二回桂信子賞発表 受賞記念10句 「春隣 文挟夫佐恵」
  • 第六回島原「蕪村忌」大句会
    辻田克己、大石悦子、茨木和生、岩城久治、黒川悦子、中西夕紀、立村霜衣、藤田真一ほか
  • 特集 今井杏太郎の世界
  • 追悼 皆川盤水
  • 新連載 俳文のすすめ 堀切実
  • 新連載 駘蕩たる句境 高柳克弘
  • ロングインタビュー 斉藤夏風 (聞き手:神野紗希)
  • 俳句の醍醐味 室生幸太郎/永島靖子
  • 現代俳句を語る(最終回) 高野ムツオ、星野高士、井上弘美、田中亜美
  • 第7回鬼貫青春俳句大賞受賞作品30句 「こむらがえり 久留島元」
  • 恭二歳時記  小林恭二
  • 大人の文学 仁平勝
  • かたまりかけてこんなもの  小川軽舟
  • 年鑑自選作品集を読む 中村和弘、藤田哲史ほか
  • 「冬の作品集(本誌前号)」を読む  山田佳乃、関悦史、田島健一ほか

といった感じ。
時評やエッセイはおびただしいので適宜選出したが、「新撰組」などでおなじみの若手たちも執筆していてたのもしい。
特に「座談会」は最終回を迎えたが、4人の作家が俳句甲子園など若手世代の句にもリアルタイムに向き合っていてとても興味深い内容。
今回は特に田中亜美さんが田島健一氏の作品をめぐって星野、井上両氏と意見を戦わせており、ネット上でもいくつかそれに反応する声があがって興味深い問題提起となった。もっともこれは世代間の問題というより、俳句に対するスタンスの差に見えたが、「わからない若者俳句」に押し込めようとする意図を感じたのはひが目だろうか。

しかし、目次だけでも相当の重圧である。
『俳句』に比べると「俳句上達」のためのセオリー解説などは少なく、比較的「読む」「詠む」ほうに特化した誌面作りを意識していることがわかる。
これは「俳句研究」の伝統を充分意識しているのだろう。

ただ(載せていただいて不平を言うのもなんだが)、記事のバラエティの広さというのは、案外善し悪し、である。季刊だからやりたいことを一巻に詰めたい、というのも分かるのだが、いささか欲張りな誌面だとは思う。

端的に示すのは、執筆者の顔ぶれ。
たとえば大石悦子氏の名は「特集 今井杏太郎」と「自選自注」両方に見える。
優れた書き手に頼みたいのは当然だが、記事を書ける人が少ないなら、書ける人にもっと重厚な論陣を張っていただいたほうが、どちらにとってもいいのではないか。
ちなみに、この「特集 今井杏太郎」だが、編集部選の「100句抄」や大石氏ほかの小論、八田木枯、鴇田智哉氏ほかの一句鑑賞などそれなりに充実したラインナップであるにもかかわらず、なぜ今井氏をとりあげたのか、今井氏本人はどういう来歴でどういうお人柄なのか、そのあたりのフォローが一切ない。
「皆さんご存知」という前提なのだろうが、一方で別の「インタビュー」「追悼特集」「自選自注」が並んでいるのをみると、どこを見てよいか悩む、というのが正直なところだ。

せっかくの季刊誌でじっくり読めるのだからこそ、もっと焦点を絞った特集も読みたかった、というのは、これはすでにナイモノネダリの領域だろうか。

近頃、「関西俳句なう」の特集に関連して、1980年代の『俳句研究』バックナンバーを眺めることが多いのだが、この時代は本当に熱い。
よく言われることだが、高柳編集長時代の「特集」は、雑誌一冊がそのまま研究資料集になるというものが多く、文字通り「俳句研究」の基礎資料となっている。

いま、あの時代の誌面を超えるのはかなり難しいと思うが、一方で、新たな批評の場や論客は確実に台頭している。俳句批評は、いま、確実に「凪」の十数年を脱しつつあると思う。

※ 一度アップしてから、一部加筆訂正。



参考.
週刊「川柳時評 川柳の「場」はどこに?」

たじま屋のぶろぐ ある座談会について
閑中俳句日記(別館)関悦史 「鷹」2011年2月号
週刊俳句 Haiku Weekly: 【週刊俳句時評 第26回】神野紗希
たじま屋のぶろぐ 「なう」についての疑問(その2)
 

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