2012年11月30日金曜日

メモ 伝統と前衛と



最近流行らなくなって久しいけれども、いちおう俳句界では「伝統」と「前衛」という二項の対立軸があり、その競合によって、いわゆる「俳句史」なるものが叙述されたきた。
「伝統」とは、一般的に
ある民族・社会・集団の中で、思想・風俗・習慣・様式・技術・しきたりなど、規範的なものとして古くから受け継がれてきた事柄。また、それらを受け伝えること。「歌舞伎の―を守る」「―芸能」

と定義される。

「前衛」とは、一般的に
1.軍隊の前方にあり、偵察・警戒などの任にあたる部隊。→後衛2 
2.バレーボール・テニスのダブルスなどで、自陣の前方に位置して攻撃・守備にあたる者。→中衛1 →後衛1
3.階級闘争において最も革命的・先進的な役割を果たす集団。
4.芸術活動で、既成の概念や形式にとらわれず、先駆的・実験的な表現を試みること。また、その集団。→アバンギャルド

と定義される。この場合は4の用法である(3ではない・・・と思う)。

ここで注意しなければならないのは、「伝統」は、伝えられてきた歴史性に価値を置き、継承する意味を疑うことがないということだ。従って、その意識は自分たちの「伝統」をどう守り、伝えていくか、という点に向かうことになる。

つまり、「伝統」派閥に立つ人の視点は、過去ではなく現在、そして未来に向いている。

歌舞伎や落語など、いわゆる「伝統文化」の分野や、お菓子の老舗などで「変わらないために変わり続ける」というような標語が掲げられるのも、「伝える」ことに価値を置く未来志向の考え方である。

一方の「前衛」は、実は後衛あっての前衛である。「前衛」が「前衛」であるためには、歴史を踏まえて、今まで試されていない手法、開拓されていない分野、に率先して進んでいく、その挑戦、目新しさ、に「前衛」の価値はある。
従って、実は「前衛」派閥に立つ人の意識は、過去の歴史をふまえた同時代の自分の立ち位置に向けられており、それが後世に広く伝わるかどうか、ということは、実際には重視されていないと思われる。

過去の歴史を踏まえ、吟味し、その価値付けについて考察する、というのは、あくまで「前衛」の仕事であり、「伝統」は、過去の歴史を学ぶことはあってもその評価を行うことはない。歴史的遺産はすべからく価値高いものである。

もっとも人間であるからどうしても受け入れられないものもあるだろう。
その場合、特に否定するのではなく、無視して継承しない、という手段がある。歴史的遺産を評価づけてしまったら、自分たちの拠って立つ価値が崩れるかも知れないのである。剣呑である。



先日、現代俳句協会青年部シンポジウム「洛外沸騰 今、伝えたい俳句 残したい俳句」があった。
当日配られたパンフレットでは、「伝えたい俳句」「残したい俳句」について、次のように定義づけがおこなわれている。


<伝えたい俳句>
・現代に生きる他者との共時的・水平的関係性の中で注目したい俳句。 
・俳句に親しむ週刊のない人、他ジャンルの表現者など、俳句にとっての外部世界にいる人々に知らせたい俳句作品やその特色。(中略) 
・比喩的にいえば、異国に漂着するボトルメールに入れたい俳句。 

<残したい俳句> 
・後世の俳人との通時的・垂直的関係性の中で注目したい俳句。(中略) 
・比喩的にいえば、後世に開封するタイムカプセルに納めたい俳句。
(下線部、引用者)

一般に「前衛俳句」の流れに位置する現代俳句協会において、他者へ「伝える」ことはともかく、後世へ「残す」意識が強く押し出されているのは、これは実は、特徴的な変化なのではないだろうか。

まとめてしまえば「前衛と伝統との区別がなくなったフラットな現代俳句」という、どこにでも見られる現象のひとつに過ぎないかもしれない。

また、近年私自身も注目しているような、俳句を「詠む」意識から「読む」意識への変化、という流れで簡単に位置づけられるのかもしれない。

しかし、私はここに、「前衛」の中から「読まれる」意識が押し出されている、ということに、ある時代の終焉と、それにともなう何かしらの危機感とを読みとるべきと思う。



※ 12/1追記、関連ツイート。

忘れないうちに、備忘録。先日の現代俳句協会青年部主催のシンポジウム「洛外沸騰」は、サブタイトルが「伝えたい俳句、のこしたい俳句」というものだったけれど、そのシンポの趣旨と実際の内容について、竹中宏氏の感想としては、次のようなものだった。→

(続き)「(今現在の)俳句の姿を他ジャンルに伝えようとしたり、時代ごとの俳句作品やその他諸々を後世に遺そうとするのは、現代俳句協会特有の意識なんじゃないか」とのこと。これはなるほどなあ、と感じた。現代俳句協会の本質を端的に言い当てていて、凄いですね。。ちょっと盲点でした。


(承前)②の現俳にについての指摘《後世へ「残す」意識が強く押し出されているのは、これは実は、特徴的な変化なのではないだろうか。》は、シンポ後にここで青木君とやりとりした、竹中宏さんの指摘とはまるで違う。竹中さんは「変化」ではなく「特徴」というように言われたらしい。→

(承前)キャリアの違い?か、同じことでも見えている風景は当然ちがう。竹中さんのは興味深い指摘なのだがよくわからないところがあり、ほかにも色々いずれご本人に伺わねばと思う。それはそれとして、個人的な興味が向いたのは、花ではなくて、土のほう。






2012年11月25日日曜日

「洛外沸騰」 アンケート(抄)


先日の現代俳句協会青年部シンポジウム「洛外沸騰」で配布された資料のうち、パネリストへの事前アンケートの結果が面白かったので、メモ代わりに、いくつか引用してみます。
なお、回答者は、青木亮人、岡田由季、松本てふこ、彌榮浩樹、の4人。
司会の三木さんは、回答したそうですが資料には掲載しなかったそうです。

Q4.好きな俳人ベスト3をあげてください。
青木 1位…与謝蕪村  2位…中村草田男・山口誓子 3位…宇佐美魚目
岡田 1位…星野立子  2位…川崎展宏       3位…寺沢一雄
松本 1位…波多野爽波 2位…辻桃子        3位…杉田久女
彌榮 1位…飯田蛇笏  2位…波多野爽波      3位…橋カン石

Q5.最近特に注目している俳人は誰ですか。
青木 現在、戦時下の中村草田男と山口誓子を調べているため、この二人に関心があります。彼らはとにかくヘンです。
岡田 西村麒麟。
松本 片山由美子。御中虫。音羽紅子。
彌榮 飯田蛇笏

Q9.俳句でしか伝えられないことがあると思いますか。はいの場合、それは何ですか。いいえ、どちらともいえない場合、それはなぜですか。
青木 はい。 他ジャンルに存在しない「何か」としかいえないもの。
岡田 どちらともいえない。 俳句でしか伝えられないというとずいぶん気負った感じがしますが、俳句で表現するのに向いていることがらというのはあると思います。
松本 はい。 やるせなさ、バカバカしさ、それゆえの希望。
彌榮 はい。 俳句作品という形でしか把握できない、<世界>の「俳」的な厚み・屈折・手ざわり・重たさ。

さて、次の人々に向けてあなたなら具体的にどんな句を伝えますか。 
Q10.日本のことを知らない外国人に
青木 夏草や兵どもが夢の跡  芭蕉
岡田 たてよこに冨士伸びてゐる夏野かな  桂信子
松本 山又山山桜又山桜  阿波野青畝
彌榮(日本語はわかり、感じることができる、という前提です。ありえない前提ですが) 
 をりとりてはらりとおもきすすきかな  飯田蛇笏
 階段が無くて海鼠の日暮かな

Q11.俳句を知らない小学6年生の子どもに
青木 露の玉蟻たぢたぢとあんりにけり  川端茅舎
岡田 冬と云ふ口笛を吹くやうにフユ  川崎展宏
松本 夕涼みばばあは誰もうるさくて  如月真菜
 じゃんけんで負けて螢に生まれたの  池田澄子
彌榮 春の水とは濡れてゐるみづのこと  長谷川櫂
 手をつけて海のつめたき桜かな  岸本尚毅
 さびさびとステテコくはへ昼狐  加藤郁乎

Q12.俳句に興味が無い若者世代に 例えば大島優子(AKB)に
青木 じゃんけんに負けて蛍に生まれたの   池田澄子
岡田 頭の中で白い夏野となっている     高屋窓秋
松本 ふはふはのふくろふの子のふかれをり  小澤實
 初夢のなかをどんなに走つたやら  飯島晴子
彌栄 ※相手に合わせて選びます
 ひるがほに電流かよひゐはせぬか  三橋鷹女
 うたたねの泪大事に茄子の花  飯島晴子
 天体やゆふべ毛深きももすもも  折笠美秋

Q14.俳句に興味がないあなたの同世代に
*例えば、小説は読むが俳句には見向きもしない友人に
青木 手品師の指いきいきと地下の街  西東三鬼
岡田 冬キャベツとんかつに添ひ輝ける  寺沢一雄
松本 千人針はづして母よ湯が熱き  片山桃史
彌榮 銀河系のとある酒場のヒヤシンス  橋 閒石
 恥づかしきものげんげ田に捨ててあり  波多野爽波
 吐瀉のたび身内をミカドアゲハ過ぐ  佐藤鬼房

Q17.恋をしている人に
青木 分け入っても分け入っても青い山  種田山頭火
岡田 下萌えぬ人間それに従ひぬ  星野立子
松本 雪まみれにもなる笑つてくれるなら  櫂未知子
 君のことなんにも知らず春の蟹  辻桃子
彌榮 寝不足や大根抜きし穴残り  鈴木六林男
 身二つとなりたる汗の美しき  野見山朱鳥
 空を出て死にたる鳥や薄氷  永田耕衣

Q19.絶望している人に
青木 鉛筆の遺書ならば忘れ易からむ  林田紀音夫
岡田 ひよこ売りについてゆきたいあたたかい  こしのゆみこ
松本 幸福だこんなに汗が出るなんて  雪我狂流
彌榮 西国の畦曼珠沙華曼珠沙華  森澄雄
 神田川祭の中をながれけり  久保田万太郎
 天の川わたるお多福豆一列  加藤楸邨



なるほど、という回答もあり、 「何故!?」という回答もあり。
お人柄などを知っているとさらに楽しめますね。

当日の講演会では、青木さんから、「句を選ぶことというのは、逆に何かを選ばないこと、つまり選ばなかった句に対するアンチとなる」といったお話がありました。
そこからすれば、「伝えたい俳句」(というより教えたい俳句、といった感じですが)としてパネリストが選んだそれぞれの句が、同時に、どのような句に対するアンチたりえているのか、といったあたりを考えるのも、興味深いと思います。


・・・個人的には、「注目している俳人」で、山口誓子・中村草田男、飯田蛇笏、片山由美子、という並びで、西村麒麟さんが入っているのにツボってたのですが(笑)。
岡田さん、やるなぁ。



※ 当日参加されていた、小池正博さんもアンケートの一部を紹介されています。
 週刊「川柳時評」:第23回現俳協青年部シンポジウム
 

2012年11月19日月曜日

関西沸騰


昨日は現代俳句協会青年部シンポジウム「洛外沸騰 今、伝えたい俳句 残したい俳句」に参加してきました。

青木亮人さんの基調講演に始まり、岡田由季さん、松本てふこさん、彌榮浩樹さんを交えた2時間強のシンポジウム。

シンポジウム内容としては・・・うーん、いろいろ突っ込んで聞きたい問題点、議論していきたいテーマがいくつも出入りしたわりに、結局拡散してしまって、散漫な感じになってしまったかなぁ、というのが正直な感想。
まぁ、この手のシンポジウムで、「大満足!!」というのは難しいですし、基調講演の青木さんからは
従ってここで求められるのは書くパネリストに共通する価値観でなく、互いの主張が幾重にも絡まり、もつれ、途切れては結ばれるその一瞬を追うことで自らの俳句観が拡大していくこと、その体験を味わうことであろう。
当日配付資料「基調講演要旨」より

とされていたので、収斂する方向に向けるつもりは、初からなかったのかもしれませんが。

とはいえ、十数年ぶりという関西での青年部シンポジウム。
橋本さん田島さん宮本さん、と東京から来られた方々とかにも会えたし、関西で紹介したかった人たち同士も紹介できたし、もちろん他にいろいろな方と知り合う機会も得られたので、大変有意義な日でした。ホント、半日だけであんなにおもしろい人たちの間を飛び回っておしゃべりしまくれた、というのは素敵な体験です。今回は若手では湊圭史さんや小倉喜郎さんが、シンポジウムだけで懇親会に来れなかったのが残念。

ちゃっかり青年部スタッフの二次会にも混じらせてもらいまして、祇園のお店で呑みました。一時間くらいだったけど楽しかったなー。
今後、新しく東西の交流につながるような話題も出ていたので、楽しみです。


当日は資料として、パネリストに対して行われた事前アンケートの回答結果がまとめられていて、実はそのアンケート項目・回答がとてもおもしろい。
こちらはお土産としてかなり読み応えあり。

実は、当日シンポジウムに対する客席の共通見解については「総括コメンテーター」とされた小池康生さんが、最後に的確に話されていたので、改めて私がここでくり返すのは野暮きわまるわけです。
ということで、むしろ「お土産」のアンケート回答の一部とかを紹介するほうが、イベント参加されていなかった人たちへはいいと思うので、近いうちにそっちをやりますね。
今日はひとまずの感想のみ。


さて、11月は紅葉雨の京都で「洛外沸騰」だったわけですが、12月クリスマスシーズンには、神戸でお祭りです。

こちらは私も実行委員会で関わっているのですが、結社や協会とはまったく関係ない、個人的な思いつきだけで突っ走り、ぶちあげた企画です。


第一回 俳句Gathering -俳句で遊ぼう!!-


日時:平成24年12月22日(土) 13:00~(開場12:30)

会場:生田神社会館3F 「菊の間」

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参加費:一般:2000円 大学生:1000円 高校生以下:無料
(学生の方は受付にて学生証をご提示下さい)
懇親会:18:30~ 参加費:6000円

第一部 五・七・五でPON!
「何所で誰が何をした」ゲームの俳句版、天狗俳諧に挑戦!
江戸文学の俳諧遊戯を楽しんでみよう!!
司会:山本たくや

第二部 シンポジウム~「俳句の魅力」を考える~
関西で活躍する実力派の中堅・・若手作家が、本音で語り合う「俳句の魅力」。なぜ、今、俳句なのか?
パネリスト:小池康生・小倉喜郎・中山奈々
司会:久留島元

第三部 選抜句相撲
作った俳句を一句ずつ取り上げて対戦させる句相撲。
今回その句相撲に参加できる句は、抽選で選ばれる、たった20句。
果たして貴方の句は最後まで残れるのだろうか?
そして今大会目玉の上位入賞者の豪華プレゼントとは…?
 兼題:「冬の星」(オリオン、冬銀河など傍題も可)
司会:若狭昭宏 アシスタント:彩弥加
審査員:堺谷真人・工藤惠・涼野海音・藤田亜未、ほか

第四部 句会バトル Pizza♥Yah! VS 俺たちゃ俳句素人48
今年七月に結成したばかりのアイドルグループ「Pizza♥Yah!」に
いきなりの試練!なんと日本伝統文化「俳句」に初挑戦!?
迎え撃つ「俺たちゃ俳句素人48」とはどんな奴らなのか?
審査員には関西で活躍する若手有名俳人たちを迎え、アイドルたち
がガチンコ句会バトルに挑む!!

『Pizza♥Yah!』 YUKA・伊藤綾美・宮崎莉緒・西永京子・おぎのかな

『俺たちゃ俳句素人48』 遠藤朗広・小澤翔・三軒隆寛・河邊佑介・河本和久

審査員:塩見恵介・佐藤文香・山田露結・杉田菜穂・三木基史



俳句Gathering公式HP 〈準備中〉

中高時代からの悪友で、徳本和俊、という男がいるわけですが。

今年の春頃でしたか、徳本とふたりで話していて、俳句を使って、なんかやりたいな、と。

ともかく、俳句と言ったら「芭蕉」とか、「宗匠頭巾に短冊」というイメージは、どうやったら払拭できるのか、と。あるいはまた、句集はどうすれば一般の人にも売れるのか、と。俳句がこんなにおもしろいのに、なぜ、それが伝わらないんだ、と。

俳句をやったことがない人、俳句にふれたことはあるけど続けていない人、俳句が大好きでたまらない人、みんな集めて、「俳句」をトコトン楽しめるようなイベントはできないのか。誰もやらないなら、俺らでやるしかない。うまくいくかどうかわからないから、とりあえず、やってみたいこと全部やってみよう、と。

そんな話をしているうちに、実行力と行動力のある徳本氏が資金調達から会場・イベント企画まで一手にひきうけ、あまつさえ芸能事務所まで動かして、ご当地アイドルを俳句の舞台に引きずり出すという、口で言うのはやさしいけれど、誰も本気で実行しなかったようなことをしでかしてくれました。

私のほうも、シンポジウム司会、ということで登場しております。

もちろん、こんな「大騒ぎ」で「俳句」を理解できるなんて思ってるわけではありません。でも、こんな「大騒ぎ」でも、俳句を楽しむことができる、楽しむきっかけになるなら、それは、やってみて悪くないんではないか、と。

というわけで、遊びとはいえ真剣に、「俳句」を楽しむイベントです。

俳句を知らない人も俳句にドハマリしている人も、どなたでも楽しめるイベントを目指しております。是非、大勢の方においでいただきたいと思っております。


2012年11月16日金曜日

詩客


本日、11/16アップの「詩客」で、10句作品を掲載いただいております。


毎週愛読している俳句時評は、湊圭史さんの番。筑紫磐井氏の『伝統の探求〈題詠文学論〉――俳句で季語はなぜ必要か』について。
筑紫著のほうは話題なので読もうと思いつつ、未読で、その内容も気になるところですが、湊さんの文章も読み応えアリ。特に、従来の俳句評論において、
「写生」や「季題・季語」といった言葉や概念がどのように成立し、また、その内実を変化させてきたのかについての視点が欠けているからなのだ。他の用語、例えば、「客観-主観」、「花鳥諷詠」等々についても、その成り立ちを掘り起こすような考古学的まなざしが向けられるべきなのだが、実作者による論が多いためもあるだろうが、創作論に引きつけすぎた自己主張、自己の派閥の主張から出た分析は少ない。

といった指摘は、これまで私も感じていたところだったので、まさに我が意を得たり。

もちろん、実作者として、実作理論を立ち上げる上では「自己主張」に拠って語るというのも重要だし誠実な態度なのだろうが、今まではあまりに「自己主張」の論ばかりが目立っていたようである。
近代俳句百二十年。虚子没後五十年を経て、そろそろ、実作者としての熱を冷まし、「考古学的」に、俳句を眺める視点があってもよい頃だろう。

 

2012年11月11日日曜日

言い訳と方針



最近とみに更新速度が落ちている。
こんな駄文blogでも見に来て下さる方はいらっしゃるわけで、たいへん申し訳ないです。

更新が落ちると閲覧数も比例して落ちるので、どうもまずいなぁとは思ってるののですが、なかなかうまくいかない。
書けないのは自分の不精のせいなので、以下はまったく言い訳なのだけれども、ちょっと言い訳と、来し方行く末を書いてみる。

はやいもので、恐る恐るblogを立ち上げてからはやくも3年がたった。

当初考えていたようなことはあらかた書き尽くしてしまい「ネタ切れ」をおこしつつある、というのが、ぶっちゃけ正直なところである。

(だいたい、専門家でもないのだから、そんなにネタなんてないのである。批評史読もうぜとか、世代論とか、考えてることは開設当初からそんなに変わってない。変わってないのだから、もう書いてしまったことはこれ以上書けないのは、当たり前だ)

開設当時は俳句blogブームというか、「週刊俳句」を筆頭に、ネットマガジンとか論説系のblogがどんどん立ち上がり議論が活性化していたので、なんとなく東京主導の流れに乗り遅れたくない、関西からも発信したい、という感じで便乗したのではあった。
ブームに便乗できたこともあってか、こんな無名人のblogでも、折々反応をいただくこともあり、悦に入っていたのだけれども、見られていることを意識すると滅多なことも書けないなぁと思うので、それなりに本を読んだり時事ネタを取り入れたり、私自身としても勉強になることが多かった。

ネット環境の整備とか「俳句甲子園」世代の台頭とか、いろんな要素がからまっていたのだろうが、すこし前からネットでは、「俳句批評」に対する飢餓感というか、熱っぽい感じが伝わってきて、問題意識が重なっていたこともあり、私にとっては心地よかった。
開設当初の拙稿を見返すと、わずか数年で古びてしまうような浅い議論ばかりだけれども、一所懸命「議論」したがっている、というのだけは伝わると思う。
私自身の議論はともかく、リンクしたり、引用してある記事はそれぞれ意味のある文章が多い。是非、参照にしていただきたいと思う。

一応、削除せず残してあるのは、その後議論に加わる人たちへの心覚えとしてである。俳句の議論は同じようなところでループしていることが多いので、少なくとも私たちの世代はこういうことを数年前考えてましたよ、議論してましたよ、くらいは残しておかないと、後輩のために不親切である、と思うのだ。

その後、「豈」が閉鎖したり、「詩客」や「spica」が開始したり、いろんなことがあった。ネット俳句界の存在は、まだまだ「若い人」の「匿名句会?」といった誤った印象を持たれつつも、少なくとも存在だけは認知されつつある、というのが現状だろうか。

最近はblogよりツイッターでのやりとりが多い印象もあり、一時の「批評熱」みたいなものは引いたような気もするが、ネット俳句界における「読む」意識、批評への関心は継続されているようであり、たのもしい。

とは言うものの、私自身はほかの批評子らとは違って、蓄積がほとんどない。
自転車操業で入れた知識を垂れ流しているだけなので、時間がとれず「入力」ができないと、そのまま「出力」も止まる、というのは自然のことであろう。
先の「批評ブーム」の熱がすこし落ち着いてくると、私自身年齢を重ねて小忙しくなってきたこともあり(大げさに言えるほど「大忙し」ではない)、最近は「入力」のほうでうまく時間がとれていないのである。

で、「ブーム」のときは自転車操業で浅い知識を振り回しているのも、それなりに声が大きければ相手してくれる人もいたのだけれど、「ブーム」が去っても浅い知識だけでは、これは多分相手にしてくれる人がいなくなるだろうな、というのが、最近の漠然とした感想である。

これから自分ができること、というのを考えてみると、やはり少しでも「入力」を貯めていくことだろう、と思う。少なくともネット周辺での「顔ぶれ」も固まりつつあるのであり、私自身はまだそのなかに入っているとはとても言えないけれども、今は議論の行方を見ながら蓄積すべきかな、という気が、してきている。


というわけで、しばらく「入力」時間がとれるまで、新しいネタの「出力」(更新)は、とどこおると思います。
告知とか、イベントの報告みたいな記事は今後とも折に触れて更新していきますので、そのへんで見捨てずにいてくださる方はごひいきに。

イベントといえば、年末に関西でいっぱつ、お祭りを計画しております。

これについてはまた詳細が決まりましたら宣伝しますので、お楽しみにお待ちいただければと思います。よろしくお願いします。

亭主拝

2012年11月10日土曜日

告知


先ほど記事をひとつアップしたのですが、思うところあって少々書き直しています。明日また投稿する予定。

で、今は告知。11月は関西が熱いぞー。

第23回青年部シンポジウムのお知らせ
  「洛外沸騰 ―今、伝えたい俳句、残したい俳句―」

■日 時
平成24年11月17日(土)
14:00(開場13:30)~17:00(予定)
懇親会 18:00~(同会場にて)

■開催場所
知恩院 和順会館 京都市東山区林下町400-2(TEL 075-205-5013) 

■プログラム
1.基調講演  青木亮人(俳句研究者)
2.パネルディスカッション

■出 演
パネリスト  青木亮人(俳句研究者)
         岡田由季(炎環・豆の木)
         松本てふこ(童子)
         彌榮浩樹(銀化)
司   会   三木基史(樫)

■主 催
現代俳句協会青年部/関西現代俳句協会青年部

■参加費
シンポジウム      一般 1,000円 学生 500円
懇親会(18:00より) 一般 6,000円 学生 4,000円
お申込みの上、参加費・懇親会費は当日会場でお支払い下さい。

■申込み・問合せ先
[現代俳句協会青年部]
E-mail : kgha.seinenbu@gmail.com
TEL : 03-3839-8190
FAX : 03-3839-8191

第 9 回 鬼貫青春俳句大賞


応募規定・・・俳句30句
(新聞、雑誌などに公表されていない作品



応募資格・・・15歳以上、30歳未満の方
(応募締切の11月20日時点)



応募方法
作品はA4用紙1枚にパソコンで縦書きにしてください。
文字の大きさは12~15ポイント。
最初に題名、作者名、フリガナを書き、1行空けて30句を書く。
末尾に本名、フリガナ、生年月日、郵便番号、住所、電話番号を書く。
郵送またはFAXで下記まで。
※応募作品の訂正・返却には応じません。
※応募作品の到着については、必ずご確認くださいますようお願い致します。
※応募作品の著作権及びこれから派生するすべての権利は、(公財)柿衞文庫に帰属します。
※個人情報は、表彰式のご案内および結果通知の送付に使用し、適正に管理いたします。また、柿衞文庫の事業のご案内をさせていただくことがございます。


  公益財団法人 柿衞文庫
  〒664-0895 伊丹市宮ノ前2-5-20
  公益財団法人 柿衞文庫
 電話:072-782-0244
 FAX:072-781-9090


応募締切・・・2012年11月20日(火)必着
選考・表彰・・2012年12月15日(土)14:00~17:00
於・柿衞文庫 講座室(兵庫県伊丹市宮ノ前2-5-20)



関西学生?俳句界 ふらここ主催イベント

日時;11月23日(祝)14時30分~1時間程度  
場所;京都大学教育学部前、教育学部ステージ 
内容;知らない人のための俳句を伝える劇と鑑賞会