2012年12月26日水曜日

俳句Gathering 始末



第1回俳句Gathering、ご参加・ご協力いただいた全ての皆さまに感謝します。

開場時間になっても見込んでいたより人の入りが少なく、どうなることかと心配も致しましたが、終わってみれば60人前後の方にご来場いただき、イチから手作りのイベントとしてはまずまずの成功だったのではないか、と。

遠方からもたくさんの人に来ていただきました。
まずは広島から青本姉妹(双子)。保護者同伴での遠征でした。高校生参加があったというのは実に喜ばしかった。句相撲大会優勝おめでとう!
岡山から石原ユキオさん、初めましてでしたがあまりお話しできなくて残念でした、guca売り上げ好調なによりでした!

そのほか、審査員をつとめていただいた、山田露結さん(名古屋)、涼野海音さん(香川)、佐藤文香さん(東京)、遠方よりありがとうございました!

もちろん関西一円からも、たくさんの方々に来ていただきました。ありがとうございました。

徳本との雑談から始まった話題が、多くの方に賛同・応援いただき、なんとか形になりました。真っ先に実行委員会を引き受けてくださった三木さん、堺谷さん。イベントに出資いただいた協賛企業各位。当日よくわからないまま招集され、一日中走り回ってくれたスタッフ諸君。本当にありがとうございます。
もちろん反省点は山のようにあり、当日アクシデントは無数だったのですが、結果的には全てがよいほうに転化したのではないか、と思えます。

まだ入場者が少なかった第1部。参加者が少ないぶん、密度が濃すぎて、みょ~に豪華な顔ぶれがそろってしまったことも、結果から見れば大成功だった。
とりあえず、「小池正博・小池康生・野口裕」の関西最強オヤジチームが完成したのは見物だった。「湯豆腐や/皿の光りて/はふはふはふ」は、さすがの完成度で、かえって普通に句としての評価(つきすぎ)的評価をうけて敗退してしまったくらいだ。
このときの勝ったのは「ぐんにゃりと/豚しゃぶポン酢/○○○(下五忘れ)」。上五は佐藤文香である。語彙の出典を考えたりして、舞台袖でウケた。今考えても「W小池+野口」のほうがいい句である。

できた句や上がったメンバーについて詳しく控えておかなかったのが残念。
まぁこれは一期一会のゲームだと思って諦めよう。たしかここらへんは録画されているはずなので、後から追記できればと思う。



そのほか、いろいろな方面でいろいろな方々にご協力いただいた。

会場、音響に関してはすべて徳本のこだわりで進められた。音響さんは日頃から生田神社のイベントにも関わっているプロフェッショナルで、まったく完璧な仕事ぶりだった。
学会や俳句イベントでは会場設備のものしか使ったことがなかったので、男声、女声、MCのマイクがそれぞれ別だったり、10本以上のマイクを使って一度もハウリングしなかったり、要所要所の音響のタイミングを気遣って下さったり、いろいろ驚かされたし、助けられた。PIZZA・YAH!のミニライブでも、音の良さに感心された方は少なくないはずだ。

改めて関係各位、ありがとうございました。



私が司会を担当した第2部シンポジウムは、「俳句の魅力を考える」。パネリストは小池康生、小倉喜郎、中山奈々。
「俳句の魅力」ということを考えながら、俳句をしていない人へどうやって俳句の魅力を伝えるか、という、いわば11月の『洛外沸騰』に連なるテーマを考える予定であった。

壇上でも言ったのだが、関西でこのテーマを考えついたとき、真っ先に思いついたのがこのメンバーだった。折しも小池さんが今年夏に句集『旧の渚』、小倉さんが12月に『あおだもの木』を出版されたばかり。この2人の胸を借り、関西の若手として中山奈々をプッシュしたい、というのが当初からのもくろみだった。

シンポジウムの内容については、時間の制約もあったし、充分に議論できなかったところも多い。しかし、3人のパネリストそれぞれの「俳句の楽しみ方」の違い、「魅力」の違いが明らかになった、ということで、よかったのではないだろうか。

結社での鍛錬なり句会なりを通して「俳句」を深化・沈化させていきたい小池さん。
「俳句」をテコに、人間関係、他ジャンルとの交流を広げていこうとする小倉さん。
ともかく「俳句」を通じて人生を楽しみ、人と関わっていこうとする中山さん。
微妙に交錯しつつ、大きくわければこの3通り、といえるだろう。

懇親会の席では、塩見先生から
「俳句で人生を豊かにしよう、という小池さんと、豊かな実人生を俳句に導入して広げていこう、という小倉さんとは真逆。その違いをもっと深めるべきだった」
との示唆をいただいた。

私自身としては、真逆と言うよりx軸とy軸の違いで、どちらもありうると思っていたし、なにより「俳人」向けのイベントにするつもりはなかったのであえて対立点を強調せず、無難にまとめる方向へいってしまった。
しかし、多くの「俳人」にとっても興味深い論点だったと思う。次回戦にむけて、準備する必要がありそうだ。

(※追記。 そういえば、あとから司会がしゃべりすぎである、との叱正を頂いた。シンポジウムで司会がしゃべりすぎるのは確かに見苦しい。反省している。)

質問コーナーでは、句会未経験の大学生から「俳句をやっていない人へどう誘えばいいか、またどう教えればいいか」という質問があり、「強引に誘う」「俳人の3人に1人は気軽に教えに来てくれる」「とりあえずやらせろ」など、具体的なんだかよくわからないアドバイスが相次いだ。

とにかく「俳句をもっとみんなにやってほしい!」というパネリストの思いは、伝わったのではないだろうか。



今回目玉であった第4部句会ライブ。
7月に結成したばかり、という関西のご当地アイドル・PIZZA・YAH!の5人と、半年ほどまえに「アイドルと仕事する」という話だけで俳句を始めた素人男性5人の、俳句甲子園ルールにのっとったディベートバトル、である。

舞台裏をバラすと、「素人」チームのうち先鋒の遠藤くんは吉本所属の芸人さん。実は昨年も同様の企画において句会ライブに出場しており、それ以来俳句にも関心を持ってくれている。三軒さんの本業は紙屋さん。協賛企業で、当日も物販コーナーで短冊を販売してくださった。あとの3人は、徳本・久留島の中高時代の先輩、後輩である。

一方のアイドルグループは、これは正真正銘のアイドル。イチから芸能事務所に交渉し、俳句アイドルを目指すことになった。わずか1~2週間程度ではあるが、きちんとこの日のために準備して試合に臨んでくれている。
参加者全員が納得してくれることだと思うけれども、どちらのチームも「俳句」に関しては至極まっとうな、知識と視点を持っていた。もちろん「見せる」ために笑いに走ったり、大げさなパフォーマンスをしてみせたりはしながら、根っこでは「俳句」に向き合っている。だからこそ、「見せる」試合になったのではないか、と思っている。

それぞれの句を紹介しよう。まずはPIZZA・YAH!の句。
・「アイドル×闇鍋 〆はうどん  おぎのかな」
・「初恋は大根女優湯ざめする  伊藤綾美」
・「水仙花ママには少しばれたかな  宮崎梨緒」
・「寒の内鳩と雀のにらめっこ  西永京子」
・「雪女スタッドレスにKISSのあと  YUKA」

そして、男性チームの句。
・「カレー鍋一人でつつくやよい軒  遠藤朗広」
・「一ページめくる間や煮大根  小澤翔」
・「水仙や窓に残った走り書き  三軒隆寛
・「蜜柑喰ふ麻雀の役未完なり  河邉佑介」
・「朝もやの道 髭面の雪ウサギ  河本和久」

結果は4-1でアイドルの勝利。
私自身は試合前に準備していたときは男性チームの句もいい句がたくさんあると思っていたのだが、思った以上のアイドルチームの奮闘で、結局大敗してしまった。特にYUKA姉の「スタッドレス」の句は「季語」として新たな可能性がある、として審査員からも高く評価されていた。

当日、第4部にめがけてPIZZA・YAH!のファンがどっと押しかけ、俳句イベントとしてはちょっと不思議な空気になった。
しかし、試合では、おそらく俳句と関わった経験がないであろうアイドルファンと、俳句どっぷりの参加者たちと、一緒になって笑ったり、感心したり、エンターテイメントとして楽しめたのではないかと思う。そこに融合が生まれたのなら、ともかく第1回俳句Gatheringとしては成功だ。

「俳句」は、ルールをふまえたうえで、それを崩したり、ひねったりしながら「遊ぶ」ものだと思う。ルールをまったく知らないで壊した気になられても困るが、最初からルールにがんじがらめになる必要もない。
そういうまっとうな「遊び方」を、今回すこしでも見せつけることができたなら、スタッフ一同、これに勝る慶びはない。

もちろん、初めての試みであったのでリハーサルもほとんどできず、お金を取るイベントとしては情けないほどぐだぐだだった部分もある。反省すべき点は多い。
しかし、どういう形になるかはわからないけれども、俳句Gathering活動は、今後もできるだけ続けていきたいと思っている。引き続き、皆さまのご支援ご協力を賜れば幸いである。



※ 同日23:30、一部改訂追記。

4 件のコメント:

  1. こんばんわ。当日はお世話になりました。盛況でしたねー!

    一ページめくる間や煮大根  小澤翔

    初心者の方とは思えない句と内心、感心していました。

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  2. こちらこそ、遠方からわざわざありがとうございました!

    実は、検索していただければすぐわかると思いますが、彼だけは高校時代、俳句経験があるんです。当初の予定では、まったく未経験に近いメンバーだったのですが、直前になって急遽、彼に入ってもらうことになりました。
    とはいえ、彼も高校卒業してから7~8年以上ぶりに作った句のはずで、さすがの実力というか、昔取った杵柄、というところでした。

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  3. わたなべじゅんこ2012年12月29日 22:28

    当日はお疲れ様でした。楽しかったです。「俳句で遊ぶ」「俳句を遊ぶ」まだまだなにかできそうですね。次もあるのかな?それもまた楽しみです。

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  4. >わたなべじゅんこさま

    こちらこそ、わざわざありがとうございました!
    まだ俳句をしていない学生さんにも参加いただいたこと、本当によかったです。次回の企画、私はほとんど考えてませんが、実行委員会としてははやくも暗躍しているようです。ご期待いただければと思います。

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