2014年12月27日土曜日

俳句Gathering

年の瀬のお忙しいなか、足元の悪いなか、ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。
参加者名簿などを参照すると、当日は延べ50名ほどの方に参加していただいたようだ。
この数字はバトルに参加してくれた大学生俳人や審査員、登壇者をふくめた数なので純粋な入場者数ということでもないが、それでも有志イベントとしてはまずまずの入場数だと自負している。

本当にありがとうございました。

昨年まではアイドルを呼んだり、とにかく大きな「祭」を志向したものでした。それはそれで、得るものはあったと思いたいのですが、あまりにもこちらの準備が不足し、特に昨年度は、はっきり「失敗」してしまったと言っていい。
正直なところ、企画内容、予算、スタッフ、全ての面で、我々は不足していた。

今年は実行委員会のメンバーにも変更があった。趣向を変えて、できる範囲のイベントをめざして作ることにした。
代表をお願いした三木基史さんをはじめ、今年初めて関わったスタッフの皆さんは、短い準備期間でイベント趣旨を理解し、慣れない作業を十全にやってくれた。仮屋賢一氏、阿久津統子氏、堀田華絵氏、仲里栄樹氏、物販を引き受けてくれた羽田大祐氏。
また審査員の先生方にも、年末多忙のなか、長時間のイベントに力一杯ご協力いただいた。ただただ感謝である。



第一部は、6大学バトルの予選として「天狗俳諧」を行った。
準備不足でリハーサルをしていなかったため、最初はばたばたと手間取ってしまったが、後半はそれなりにうまくいったと思う。
ただ、案外出場選手たちが本気で対策してきたらしく、即興の面白さというより、チームワークで無難な作風に落ち着いてしまった、というのが正直な感想。
ゲームとして、あるいは予選試合としては、それなりにまとまってよかったが、俳諧のゲーム性という点ではいささか目的を逸した観がある。
天狗俳諧ルールや敗者救済の制度をふくめて、もう少し検討する必要がありそうだ。

第二部では、歌人の土岐友浩氏をお迎えし、中山奈々とともに短歌界の若手の活動についてうかがった。
短歌界では、この数年特に結社や総合誌のような既存の場にとどまらず、Twitter、文学フリマといった新しい「場」で同人誌や独自の企画を展開していく動きが活発だ。
当日は、土岐氏が中心となった同人誌「一角」「サンカク」や、そこから派生した「わたしの五島さん」コミカライズの話題、またTwitter上で短歌の読みに関する議論が盛り上がり「Twitterには謎の読み巧者がいる」という話題など、普段俳句界では聞けない内容が飛び交い、興味深かった。
ただ、客層としては日常的にTwitterに親しんでいる学生たちと、Twitter自体全然知らない中高年齢層とに分かれていたので、司会の不手際もあり問題意識の共有は難しかったかもしれない。反省点である。

第三部は、津川絵理子氏、小倉喜郎氏、曾根毅氏(三木氏から交代)の三氏を審査員に迎え、俳句甲子園形式のディベートを行った。
第三部に勝ち進んだのは、京大(1人は広島大学)、阪大、甲南、龍谷の4大学だったが、想像以上にディベートが活発であり、俳句甲子園の再現を見る思いだった。
しかし、逆に言うとそれは「高校生のディベート」のままだ、ということでもある。甲子園のディベートが、ある程度の完成度で公式のようなまとまりを見せている分、大学生としては別の方向性も模索してほしかったのだが、まだ難しかったようだ。
甲子園未経験の学生たちが、今後どのような批評力を発揮するかに期待したい。

当日投句大会では席題「雪だるま」で、多くの投句をいただき、小池康生氏、星野早苗氏、曾根毅氏によって選ばれた3句に景品が贈られた。
最優秀 雪だるま羽釜におこげ少しあり  平きみえ 佳作  おんなのこのゆきだるまはいるのかな  寺田心 佳作 だんだんと嘘を覚えて雪だるま   小鳥遊栄樹


主催の不手際から当日は時間が押し倒し、30分近い遅れとなってしまった。その後、学生が多かったこともあり近くの自治会館を借りて1時間程度のかるい打ち上げを行ったが、遅くなったにもかかわらず34名もの参加者があり、相互に交流の機会になったようだ。

イベントの成果については、また参加者などから意見を頂戴しながら検証していきたいと思っている。


イベントという方向で「裾野」を拡張しながら、一方で「俳句」に関わる人々は「深化」も目指さなくてはいけない。

どちらか、ではない。どちらも、だ。

それが私に可能かどうかはともかく、それに関わっていくような立場でありたいと強く願う。


年末になってから、ずんと重い手応えの句集をいくつも拝読。
  • 佐藤文香『君に目があり見開かれ』(港の人)
  • 岡田一実『境界-border-』(マルコボ.コム)
句集ではないけれど、
  • 『川柳ねじまき #1』


感想は、また折を見て。


※2014.12.28追記

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