2015年7月20日月曜日

活動記録


ずいぶんと間があいてしまった。

5月末から7月頭にかけて、ずいぶんたくさんのイベントに参加させてもらっていたので、いちいち書きたいことはあったのだが、まとめて書くことができず、twitterや、伊丹俳句ラボのページでちょろちょろ書いているだけですませていた。

このまま放置しておくのも問題なので、ざっと書いてしまおう。


・5/30、31 「船団初夏の集いin静岡 富士の裾野で詠む・考える」

シンポジウム1 「出版から見える俳句」
 山岡喜美子(ふらんす堂)、鈴木忍(角川「俳句」元編集長)、池永由美子(本阿弥書店書籍編集部) 池田澄子、坪内稔典

シンポジウム2 「私の俳句的課題」
 芳野ヒロユキ VS 山本たくや・久留島元・紀本直美・藤田俊・静誠司

自分の出たものはともかく、出版にかかわるシンポジウムはたいへんおもしろかった。
俳句界全体にかかわるテーマをとりあげてシンポジウムを組めるのが、船団らしさであり、船団の強みなのだろう。

<摘記>
坪内さん
江戸時代に俳句が流行したのは出版文化のおかげ。俳句文化と出版は合っていた。
角川「俳句」は、かつて硬派な、俳句の業界人しか読まない雑誌だった。ある時期から大衆的、1億人のための雑誌になった。
雑誌は時代にかかわる、切り結ぶ。スキャンダル、問題を抱えながら、時代に反応しなければいけない。
俳句業界のなかでは、電子化はあまり進んでいない。本という形で、いつまでも売れて、読まれてほしい。

池田さん
雑誌はたいへん。時代とともに生きる。方向性を間違うと、害もある。
ふらんす堂の本、ちょっと出過ぎ? たいくさん贈られてきて、読めないことも。
「結社の時代」は、自分にとってはよそごとのようだった。

山岡さん
1987年創業。年間十数冊、自宅でできる範囲の出版社から出発した。
手作りで本を作れる範囲、こだわりをもってできる範囲で仕事をしているつもり。
本は手元に残るもの、残っていってほしいもの。
作ってほしいというお客さまの気持ちを大切にする。
ジャーナリスティックに俳句をリードする会社ではない、体力が無い。
現在は年間100冊くらいの規模。社員5人。
現在は出版・製本に関わる職人が人手不足。本作りの技術の高さを伝えたい。

鈴木さん
もともとオール川柳の編集などに関わり、転職して2010年秋から角川俳句の編集。
女性初。俳句界は当時、男性社会であると感じていた。誌面に女性が少ない。作家は多いはずが、執筆者がいない。
大型総合誌として、俳壇をリードする使命感。
編集長として企画した「はげましの一句」では、賛否両論あり大変だったが、俳人の目を震災に向けた、震災を取りあげたことはよかったと思っている。
発信側の責任。かつての「結社の時代」、批判もあるが、各地で結社や愛好家を増やした功績は大きい。時代を作ってきた。
毎号2万~3万部の売り上げ(書店で1万部程度)。社内の雑誌でも別格の優等生。売り上げは落ちていない。
現在、いろいろな結社大会に呼ばれることがあるが、すこし違和感。ゲスト、来賓ではなく、結社を支える会員、同人をもっと主役にしていくべき。

参考:ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko


・6/7 第138回現代俳句協会青年部勉強会 蛇笏・龍太再読 風土詠を問う
高柳克弘・山口優夢 (司会)野口る理

たまたま私が東京へ行っているタイミングで開催された現代俳句協会青年部の公開勉強会。
神野さんが青年部部長になってから、はじめての開催になるか。spicaメンバーを中心としたキャスティングで、息のあった掛け合いが面白かった。参加者は40名超。
全体に、格別新しい視点が提示されたわけではなかったが、誠実に「蛇笏・龍太」の作品に向き合い、読解を深めていく「勉強会」であった。

<摘記>
蛇笏は、一字もゆるがせにしない、できない俳句。故郷を「言葉」によって生まれ変わらせる。言葉で作った美の世界。
現実そのままでは受容できなかった、「鉄のような、餅のような」田舎暮らし。受け入れがたい故郷。
京都や奈良とは違う、これまで文芸の蓄積がない土地を、新たに詩にしていく。文学的蓄積はないが、「日本の山村」を期待させる規模の「山村」を舞台とした作品群。

龍太は、文体が自由。多様な文体を自分で作って、自分のものにしていく。→筑紫磐井の指摘。
特殊な土地を詠んだものではなく、普遍性に足をかけていくための文体の創造。多様性。
自然を「不気味なもの」、自分をとりまき、「見ている」ものととらえる、独特の感性。決して自然と親和的ではない。

単なる土地ほめ、観光・紹介に止まらない。風土詠と呼ばれるが、風土詠に止まるなら読まれない。普遍性につながる俳句。
郷土への愛憎。違和感。風土との距離感。風土詠は、風土の現実を越えていなくては鑑賞されない。


なお、当日資料のなかに「現在の風土詠」、風土(地域)にこだわった俳句として『関西俳句なう』所載の
句がいくつか引かれていた。
  チャウチャウちゃうチャウチャウちゃうねんシクラメン 山本たくや
  一面が雪です朝日大阪版 塩見恵介
しかし、打ち上げの酒席でも話題になったが、これらは「風土詠」とは呼べないだろう。
当日はうまく言えないまま雑談に紛れてしまったが、要するに作家の活動と作品の傾向とを混同しているのだ。
『関西俳句なう』が「関西」にこだわったのは、作家(編集主体)の活動姿勢として「関西」にこだわっているというだけで、作品として「関西」にこだわった作品を作っていることとは別である。


・6/14 俳句ラボ
柿衞文庫也雲軒で開講されている、49歳以下対象の句会「俳句ラボ」が、今年も無事に開講されました。
今年は講師として藤田亜未が加わり、さらに若返り。
この日はガイダンスで無料だったが、昨年以来の常連メンバーに加え、新規参加者も増えて、活況であった。

来月は8月9日、杉田菜穂講師の2回め。

私は10月、11月、12月を担当します。よろしくお願いします。

参考:若手による若手のための俳句講座「俳句ラボ」 


7/4 俳都松山松山キャラバン
第一部講演会「十七音があなたを変える」
俳都松山大使・夏井いつき氏

第二部 俳句対局 大阪トーナメント
対局者:エルヴィン三木、工藤惠、中山奈々、小鳥遊栄樹
審査員:きむらけんじ、津川絵理子、曾根毅 

夏井さんのイベントです。

夏井さんの講演会は、俳句甲子園が現在の形になるまでの地道な苦労をふくめ、とにかく「俳句の裾野を広げたい」という熱意が伝わってきた。
資金集め、行政や教育機関への説得など、何度も挫折をくり返しながら、「プロを目指すわけではない、俳句を楽しむ裾野が栄えてこそ、俳句の高みは富士山のようななだらかな秀峰になる」という信念をもって活動してきたという。
現在出演しているテレビ番組の裏話も話されていたが、俳句に無知だったスタッフが、「俳句の切れは、カメラのカットと同じ」だと分かったときからどんどん理解を深め、積極的になったのだという。

夏井さんの俳句指導は、いわゆる「12音技法」(季語5文字+なにか、で簡単に俳句が作れる、という指導)や、季重ね、三段切れなどを否定する「添削」指導など、賛否両論ある。
私自身も、俳句の指導でどこまで技術を「指導」するか、という問題に直面しているが、一方で「プロを目指すのではない」と開き直った夏井さんの「俳句を楽しむ」ための指導は、決してムダではないと思う。


俳句対局については、こちらに書きました。


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